ギャラリー桜林「棚田康司展 鎮守の森の入口で」
0296-74-3000
住所 / 〒309-1634 茨城県笠間市福原2006
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ギャラリー桜林「棚田康司展 鎮守の森の入口で」
棚田康司展 鎮守の森の入口で
2019年(令和元年)10月20日(日)~ 2020年1月13日(月・祝)
「箱から出ていく彼女の像」 2019 像:樟の一木造りにオイル、銀箔 箱:樟材、銀箔、コーチスクリュー 204 x 50 x 61 cm
ギャラリー桜林では、明日2019年10月20日(日)よりミヅマアートギャラリーとの共同企画による棚田康司展「鎮守の森の入口で」がオープニングを迎えます。作家 棚田康司も在廊致します。是非この機会にお立ち寄りください。
棚田康司(彫刻家、1968年兵庫県明石市生まれ、神奈川県在住)はこれまで一貫して木彫に取り組み、特に2001年のドイツ滞在以降は仏像彫刻でも多用されてきた「一木造り」(一本の木から彫り起こしていく日本古来の伝統的技法)により、「少年少女」を始めとした人間像を彫りつづけてきました。手足が長く、細身で不安定に立つ棚田作品は、繊細で危ういながらも力強さと神秘性を宿し、人間と神、自然、社会などの「あいだ」を制作のテーマとしています。
2012-13年にかけて練馬区立美術館、伊丹市立美術館を巡回した個展「たちのぼる。」では棚田の20年に渡る活動が紹介されました。2015年にはインドネシアのバンドゥンに滞在し、現地の木に想いをのせた作品を制作。それらの作品は新たにリニューアルした東京都現代美術館に収蔵されました。昨年ミヅマアートギャラリーで開催された個展「全裸と布」においては、着彩が抑えられ、より素材感が生かされた成熟した女性像が発表され、深化していく棚田の作品世界は現代美術における木彫の新たな表現として、各所において評価されています。
「鏡の少女」 2017 樟の一木造りに彩色、銀箔、鏡 167 x 81 x 66 cm
棚田康司展「鎮守の森の入口で」と題した本展が開催されるギャラリー桜林(常陸国出雲大社)は、幽冥(かくりよの)大神(おおかみ)とも呼ばれるご祭神大国主大神の鎮座される地であり、自然豊かな森には樹木葬霊園があります。棚田は以前、社殿造営のご神木を使用した作品シリーズ「12の現れた少女たち」も制作しており、昨年そのうちの1体をご奉納されました。伐採され一度死んだ巨木に、木そのものが持つ力強い生命感をもう一度吹込み、再生させたいとの想いで制作する棚田の作品は、鎮守の森において新たなる人や生命との共鳴を感じさせる展示となるでしょう。
本展では、そのご神木から制作された作品やご奉納作品の特別展示と共に、本展のために制作された最新作《箱から出ていく彼女の像》も展示されます。 新たな令和の時代が始まり2020年を迎えるこの機会に、人間と自然、社会などさまざまな境界線を捉えた木彫の新たな世界をぜひご高覧いただければ幸いです。
「制作とは、絶望と希望、優柔と決断を繰り返し、わずかでも眼前にあるものを昇華させることだけに集中していく時間と行為であろう。その工程はまるでつづら折りの道を歩む山登りのようなものだ。もちろん全ての道が見えているわけではない。むしろ途切れた位置から歩みを進めなければならないことの方が多いし、何よりその間、僕の中で葛藤がベッタリと付き纏っている。 葛藤はつづらふじともいう。植物(かずらやふじ)の枝やつるが伸びて絡まる様を人間の精神状態に重ね当てられた言葉らしい。 ようやく出来上がった作品は移動の後、場と絡み合うことで新たな空間とともに変容し、彫刻として存在し始める。そして、置かれた彫刻は見る者との最後の絡み合いを待つ。 今回、鎮守の森の入口で作品を展示出来る機会をいただいた。ここからまたそれぞれの葛藤が始まり、それぞれのつるが絡んでいくことだろう。はたして見る者との間にどのようなもつれが生まれるのだろうか。」
棚田康司
「12の現れた少女たち No.7」 2016 檜材に彩色、銀箔 30 x 17 x 20 cm
常陸国出雲大社ご奉納作品 撮影: 宮島径 ©TANADA Koji Courtesy Mizuma Art Gallery
棚田康司
1968 兵庫県明石市生まれ 神奈川県茅ヶ崎市在住
1993 東京造形大学造形学部美術学科Ⅱ類(彫刻)卒業
1995 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
2001 文化庁芸術家在外研修員として 7ヶ月ベルリンに滞在
2016 インドネシア・バンドゥンに 2ヶ月、シンガポールに 1ヶ月滞在制作
主な個展・二人展
2019 「鎮守の森の入口で」 ギャラリー桜林/茨城
2018 「全裸と布」 ミヅマアートギャラリー/東京
2017 「O JUN×棚田康司 鬩(せめぐ)」 伊丹市立美術館/兵庫
2016 「バンドゥン スケッチ」 ミヅマアートギャラリー/東京
「Nasirun & TANADA Koji From Koyasan to Borobudur」 Mizuma Gallery/シンガポール
2012 「たちのぼる。」 練馬区立美術館/東京(2013 伊丹市立美術館/兵庫に巡回)
2011 「○と一(らせんとえんてい)」 スパイラルガーデン/東京
「生える少年」 ミヅマアートギャラリー/東京
2009 「結ぶ少女」 ミヅマアートギャラリー/東京
2008 「十一の少年、一の少女」 ヴァンジ彫刻庭園美術館/静岡
主なグループ展
2019 「空間に線を引く – 彫刻とデッサン」 平塚市美術館/神奈川(足利市美術館/栃木、碧南市藤井 達吉現代美術館/愛知、町立久万美術館/愛媛へ巡回)
「リニューアル・オープン記念展 MOT コレクション ただいま / はじめまして」 東京都現代美術館
2018 「国立国際美術館コレクション 美術のみかた 自由自在」 福岡県立美術館(2019 豊橋市美術博 物館/愛知 へ巡回)
「刻まれた時間 – もの語る存在」 東京藝術大学大学美術館/東京
「現代・木彫・根付」 ベトナム日本文化交流センター/ハノイ
2017 「国立国際美術館 開館40周年記念 連携企画 いまを表現する人間像」 大阪市立東洋陶磁美術館 /大阪
「開館15周年記念展 生命の樹」 ヴァンジ彫刻庭園美術館/静岡
「今様 – 昔と今をつなぐ」 渋谷区立松濤美術館/東京
2016 「IMAY?: JAPAN’S NEW TRADITIONISTS」 The Art Gallery at the University of Hawai‘i at M?noa、Honolulu Museum of Art/ハワイ、アメリカ
「再発見!ニッポンの立体」 群馬県館林美術館(2017 静岡県立美術館、三重県立美術館へ巡回)
「IMPACTS! ・勢み」 ギャラリー桜林/茨城
2015 「No Museum, No Life? – これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会」 東京国立近代美術館
「Unveiling Fundamentals in Contemporary Art Through Asia」OHD Museum/マゲラン、インドネシア
2014 「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」 国立国際美術館/大阪
2013 「国際木彫芸術交流展」三義木彫博物館/三義、台湾
2012 「ジパング展 -沸騰する日本の現代アート-」 新潟県立万代島美術館(2013 高崎市美術館/群馬、 八戸市美術館/青森、秋田県立近代美術館へ巡回)
2010 「創造と回帰 | 現代木彫の潮流」 北海道立近代美術館
2009 「Essential Experiences」 Museo Regionale d’Arte Moderna e Contemporanea/パレルモ、イタリア
2008 「TARO 賞の作家Ⅰ」 川崎市岡本太郎美術館/神奈川
受賞歴
2010 第 20 回タカシマヤ美術賞
2005 「第 8回岡本太郎記念現代芸術大賞」特別賞
パブリックコレクション
東京藝術大学大学美術館/東京 ヴァンジ彫刻庭園美術館/静岡 国立国際美術館/大阪 龍美術館/上海、中国 高松市美術館/香川 東京都現代美術館 伊丹市立美術館/兵庫 国際交流基金/東京
主な著作物
2012 「たちのぼる。」株式会社青幻舎
2008 「十一の少年、一の少女」NOHARA 株式会社
オープニングレセプションの様子
作家 棚田康司 氏のあいさつ